エンゲージメントに与える人的資本投資の影響。
従業員エンゲージメントと人材確保を実現する人的資本投資
現代の企業経営において、従業員のエンゲージメントを高め、優秀な人材が自社を選び長く働いてもらうことは持続的成長に直結する重要な課題です。そのための有効な手段として注目されているのが人的資本投資。人的資本投資とは、従業員のスキルや知識、健康、働きやすさといった要素を「資本」とみなし、長期的な視点で成長を促す取り組みを指します。これまで企業が行ってきた教育研修や福利厚生と異なり、経営戦略に直結する「未来への投資」として捉えられる点が大きな特徴です。特に、少子高齢化やグローバル競争の激化、価値観の多様化が進む中で、従業員一人ひとりが自分の能力を発揮し、会社との関係性を主体的に築いていけるよう支援することが企業に強く求められています。
まず、従業員のエンゲージメントを高める観点から人的資本投資の重要性を考えてみましょう。エンゲージメントとは単に「現状に満足している」という状態を指すのではなく、「従業員が自らの仕事や組織に誇りと愛着を持ち、自発的に貢献しようとする姿勢や状態」を指します。近年の調査では、エンゲージメントが高い企業ほど生産性や業績が向上し、離職率も低下することが明らかになっています。逆に、エンゲージメントが低い状態が続けば、モチベーションの低下や生産性の停滞を招き、優秀な人材の流出につながりかねません。そのため、企業は従業員の学習機会やキャリア形成を支援し、心理的安全性を確保するなど、長期的に働き続けたいと思える環境づくりを重視する必要があります。社内でのリスキリングやメンタリング制度、働き方の柔軟化、ウェルビーイングの推進といった取り組みは、従業員の成長意欲を高めると同時に、企業への信頼感や帰属意識を強める効果を持っているのです。
次に、優秀な人材の確保のために人的資本投資が果たす役割を考えてみましょう。とりわけ、グローバル人材市場では待遇やブランドだけでなく「成長できる環境」が重視されるようになっています。求職者にとっては、いかにスキルを磨けるか、主体的にキャリアを形成できるかといった要素は、企業を選ぶ大きな判断材料となります。そのため、人的資本投資を通じて「この企業にいれば成長できる」と感じさせられる仕組みを提示することが、採用競争力を高める切り札になるのです。また、採用後も継続的に成長機会を提供することで、社員の離職防止につながり、結果として人材の安定的な確保と組織力の強化に寄与します。近年では外部環境の変化に対応するため、デジタルスキルやグローバルコミュニケーション力を磨く研修に加え、多様なキャリアパスを選択できる制度を導入する企業が増えています。これによりその組織での成長可能性を実感でき、優秀な人材が自然と集まる好循環が生まれるのです。
さらに、人的資本投資は企業価値の向上にも直結します。2023年からは日本でも有価証券報告書に人的資本関連の情報開示が義務化され、投資家は従業員に対する投資姿勢を企業評価の重要な指標としています。つまり、人的資本投資は社内の人材マネジメントだけでなく、外部からの信頼獲得にも影響するわけです。従業員への誠実な投資は、企業ブランドを高め、優秀な人材が集まり続ける土壌を築きます。エンゲージメントの高い人材が集まり、離職率の低い組織は、結果的にイノベーションを生みやすく、社会に新たな価値を提供する力を強化できます。これこそが人的資本投資がコストではなく戦略的投資とされる所以です。企業が人的資本投資を通じて従業員の潜在力を引き出し続けることは、経営と人材の双方に寄与する未来志向の取り組みなのです。
実例に見る、個人と会社の幸せな関係。
INVALANCEでも、心と体のケアを通して人材の活躍・定着につなげる企業文化を定着させるため、ライフスタイルやライフステージに合わせて柔軟な働き方を実現する支援に取り組んでいます。さまざまな障壁によってキャリアを諦めてしまうことがないよう、それぞれの事情を考慮し、その可能性を最大限に引き出すために、INVALANCEではどのような取り組みを行なっているのか。
ここでは、産前・産後休業、育児休業や時短勤務を利用し、今も共にソリューション統括部で活躍する佐藤(森田)道花氏と森田武寛氏のご夫妻にお話をお聞きしました。人的資本投資の一環として多様な働き方の実現に取り組むINVALANCE。その実例を見ていきましょう。

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「これまで3人の子どもの出産の際に、その都度、産前産後の休暇を取得しています。最初は6ヶ月、次が1年2ヶ月、直近は2年。第一子の時は『早く復帰しないといけない』という意識があったのですが、徐々に慣れてきたことや会社が許容してくれる環境も相俟って、徐々に期間が長くなっています。第三子の育休中には東北地方への長期旅行に行くこともでき、家族との時間を持つこともできました。こうした体験も、夫婦でフルタイム勤務だとなかなかできませんよね。
復帰した現在も、就労時間に関しては裁量を与えていただき、家族の状況に応じた柔軟な働き方を認めてもらっています。保育園のお迎えがあるため、17時には会社を出なければならないのですが、同じ部署の方々はそのことを理解してくださっていますし、2年間のブランクがあっても温かく迎え入れてくれました。多くの方の善意に支えられていることを実感しつつ、安心して働ける実感があります。
こうした働き方が実現できているのは、管掌役員で直属の上司である福田さんの影響が大きいと感じます。『自分の業務をしっかり遂行できるのであれば、働き方は自分で選んでいい』というスタンスの方なので、本当に助けられていますね。一方で、『いまやっておくべき』と思った仕事については、勤務時間外でも対応することもあります。物理的に17時以降は働くことができないので、どこかで帳尻を合わせなければなりませんから。そうした点も含めて、自己完結できる働き方が私には合っていると思います。
そして、この環境をつくってくれたのは、『新しいことに取り組もうとした誰かがいたから』ということ。これだけの規模の会社を変えようと思ったら、そこにはかなりの労力が必要ですよね。多くの人たちが積み重ねてきてくれた努力の上に築かれたこの恵まれた環境に感謝していますし、会社への信頼や愛着は増していると感じます。『変えていくことを拒まない』というINVALANCEらしさが現れている部分ですよね。契約管理という業務内容だからこそ実現できる部分はあると思いますが、私たち夫婦が認めてもらっているような働き方を、INVALANCE全体で実現できたらいいですね」
−− 佐藤(森田)道花

「最初、私自身は育休を取得するつもりはなかったのですが、同僚からの勧めもあって、思い切って上司に相談したところ、快く受け入れていただいたという形でした。育休制度が使いやすい雰囲気や上司の理解、会社からの働きかけがあってこそ実現できたと思っています。今でこそ男性の産休・育休取得も一般的な時代になりましたが、当時はまだまだ珍しかったと思います。妻とは同じ部署に所属していたので、夫婦揃って育休を取得するとなると仲間への負担も大きくなってしまうのですが、皆さんが理解を示してくださり、本当にありがたかったですね。産休・育休を取得させていただき、家族と過ごす時間も圧倒的に増え、幸福度は間違いなく上がったという実感がありますし、働く意欲は高まり、会社に対する信頼やここで働く誇りにもつながっています。
加えて、フレックスタイム制やリモートワークの導入も働きやすさの助けとなっていますね。就労環境としてはかなりホワイトだと思います。産休・育休を取得して戻ってくる人がいれば、入れ替わりで新たに産休・育休を取得する人がいる。ソリューション統括部でこうしたサイクルが回っているのは、INVALANCE社内に対しても良い事例を示すことができているのではないでしょうか。『そんな環境があるなら、自分もあの部署で働きたい』と思ってくれる仲間が増えるといいですよね。私たち夫婦は共に10年以上、INVALANCEで働いていますが、ライフステージに変化があるなかでも働きやすい会社だと感じています。そうでなければ転職していたかもしれませんしね(笑)。
仕事のやりがいもありますし、ここで働くことにまったく不満はありません。仕事の満足度も、家庭の満足度も、どちらも高めていくことがウェルビーイングにつながるのだと思います」
−− 森田武寛

会社の制度を利用することで、無理なく仕事と家庭をバランスさせている様子が伝わってきます。同時に、その環境を実現してくれている会社や同僚への感謝の想いが滲むところに、お二人の人柄も伝わってくるのではないでしょうか。
お二人の働き方に対する社内の声も聞いてみましょう。知識と経験を備えた貴重な人材が長く働けることは、会社にとっても大きな価値となることがわかります。
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「INVALANCEで出会ってご結婚された二人ですが、森田さんは入社以来、約15年にわたってソリューション統括部に在籍し、課長としてチームをまとめてくれています。佐藤さんもご主人と同様、一貫してソリューション統括部で活躍してくれています。産休・育休で数年間のお休みを挟みつつ、現在では係長として自身の仕事にはしっかりと責任を持ち、ミスなく仕事をこなしてくれており、私も信頼を置く存在です。
INVALANCEでは、育児休業制度やリモートワークなどを通じて、それぞれのライフスタイルに合わせた働き方を自由に実現できる、そんな風土づくりに力を入れており、今回のケースはそれが形となった象徴です。森田夫妻もお子様が生まれ、ライフスタイルが変化していくなか、これらの制度を活用しながら無理なく働けていると感じますし、私もその働き方には賛同しています。個人のライフスタイルと会社の望む働き方の間に生じるミスマッチによって、貴重な人材が退職してしまうのは非常に惜しいですから。男性の産休・育休取得が未だにハードルが高いなか、森田さんはINVALANCEにおける先駆者たる人物ですよね。
毎日のお子様の送り迎えなど、二人のどちらかが仕事ができない状況も多いなか、会社の制度を上手に使うことで、協力しながら仕事に取り組むことができています。今後もさらなる活躍を期待しています。

「森田夫婦に産休や育休といった制度を活用しやすい環境を会社として整えたことで、それぞれの専門性を活かし、継続してキャリアを築いている姿は、まさに人的資本投資の実践例だと感じます。個人が持つ知識や経験を失うことなく、長期的に力を発揮できる環境づくりは企業価値の向上につながります。お二人には営業部の成果に直結する貢献をしてもらっており、本当に助けられていますね。やっぱり『森田夫妻がいるから回っているな』と思います。
勤務時間や勤務形態などに制約があるなかでも、会社の制度を柔軟に活用し、確実に結果を出されているのは、ダイバーシティ推進の素晴らしい事例です。特にソリューション事業部のように専門性が重視される領域では、知見やスキルを失わないことが組織にとっての大きな価値となります。ご夫妻が互いに支え合いながら働き続ける姿は、多様な働き方を考えるうえでの道標になると感じていますし、心と体のケアを通して優秀な人材に長く働いていただく企業文化の証明になっていけばと思っています。」
会社として産休や育休といった制度を活用しやすい環境を整えたことで、森田夫妻にはそれぞれの専門性を活かして働き続けてもらうことができました。継続してキャリアを築いている姿は、まさに人的資本投資の実践例だと感じます。
−− 近藤龍一(執行役員・アセットコンサルティング統括部長)

ライフステージの変化を理由に、貴重な人材が離職を選ばざるを得ない状況は、その人にとっても会社にとっても大きな損失となります。森田夫妻の活躍は、多様化する働き方に対応するモデルケースとして、多くのINVALANCEの仲間たちを勇気づけ、企業価値の向上にもつながっていくに違いありません。
これからも続く、INVALANCEの人的資本投資への取り組み。
私たちINVALANCEでは、従業員一人ひとりの可能性を引き出し、それぞれのライフスタイルやライフステージに合わせた柔軟な働き方の実現など、ウェルビーイングを支える企業風土を築いていくために、さまざまな取り組みを進めています。不動産を通じて多くの人の未来に貢献することを目指すINVALANCEにとって、多様性に富んだ人材を集め、長く活躍してもらうという視点は、これからの成長戦略にとって欠くことのできないもの。働く人にとってより魅力ある企業であるために、INVALANCEの人的資本投資の挑戦はこれからも続きます。
INVALANCEでは、お金や投資に関する有益な情報をご提供しています。お金のことをもっと学びたい方、区分マンション投資にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
